スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

キリストは横で笑っていた. 

グノーシス―古代キリスト教の“異端思想”
グノーシス―古代キリスト教の“異端思想”筒井 賢治

講談社 2004-10
売り上げランキング : 31,077

おすすめ平均 star
starはじめてグノーシスに関して、分かりやすい本に出合えた
starよい本でした
starグノーシスへの問い、我々への問い

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


ユダの福音書の解読以来,個人的にグノーシスについてちょっとブームになっているのです.
そこで,ちょっとした入門書を読んで見ました.

面白い.というか,古代キリスト教の教義の幅の広さにちょっとびっくりでした.
一神教のイメージが強いキリスト教において,二元論的な教義を
もつグノーシス.異端とされる理由も良くわかります.

ただ,2世紀ころの異端と,13世紀の中世ヨーロッパの異端とはちょっとイメージが違うようです.
中世の異端カタリ派はアルビジョア十字軍によって殲滅されるという
壮絶な最後を遂げますが,2世紀のグノーシス諸派は,ローマや
アレキサンドリアで大手を振って歩いていたとか.
それだけ平和を謳歌できる五賢帝の時代であったこととがポイントなのですね.

この本では,グノーシス派の代表格3人を中心に紹介してくれます.
一人は,ウァレンティノス派のプトレマイオス.
もう一人は,バシレイデース.
そして,マルキオン.
の3人.

それぞれ紹介するのは,本の役割となりますが,グノーシス派について,
次のような定義が紹介されていました.

1966年,シチリア島のメッシーナでの「グノーシス主義起源に関する国際会議」で提言された定義です.

1.反宇宙的二元論
2.人間の内部に「神的火花」「本来的自己」が存在するという確信
3.人間に自己の本質を認識させる救済啓示者の存在.

1.については,世界を創造した劣悪な「創造神」と,それに対立する善なる「至高神」という存在.

また,創造神が造った人間には,「至高神」由来の本質が隠れており,これを認識(グノーシス)すること,そして救済する.

2.については知識を重視し,さらに物質世界の軽視という特徴をもつそうです.
これはギリシア哲学とくにプラトンからの影響が強く,要はギリシア哲学を
利用し,キリスト教神学を展開していったということとなります.
プラトンのいうような,現実世界はイデアの影といった思想と似た箇所があることに気がつきます.


3.はキリストの存在.

ということになる.
1.については,マルキオンは当てはまらないようで,なんと至高神は
人間とはまったくもってなんの関連もないという考えでした.
つまり,まったくもって無償の愛とか善である至高神を強調したい
という意図があったようです.





そのほか,ゾロアスター教,オルフェウス教,マンダ教,マニ教,
との関連も短いながらに論じられていました.
僕にもっと歴史や宗教,哲学の知識があれば,より面白かったのだと思いましたが,
一般向けに書かれただけあって,わかりやすかった.

ちょっとした衝撃だったのは,バシレイデースについて,エイレナイオスが「異端反駁」で紹介した部分.

「したがって彼(キリスト)は受難もしなかった.そうではなく,
キュレネ人のシモンという者が徴用されて彼の変わりに十字架を
背負ったのであり,この男が(人々の)無知を迷いのゆえに十字架に
付けられたのである.彼(シモン)がイエスであるかのように
見えるように,彼(イエス)によって姿を変えられた後で.
他方,イエス自身の方はシモンの姿になり,立って彼らを笑っていた.」 エイレナイオス 「異端反駁」

びっくりなのは,十字架にかけられたのはイエスではないという解釈.
イエスが十字架を最後まで担いだという記述は「ヨハネの福音書」だけにでてくるのですが,
逆にこれ以外にはでてこない.
もし上の解釈が正しければ,イエスの復活も復活という感じではないですね.
ただし,バシレイデースの場合は,いわゆる「キリスト仮現論」で,
そもそもキリストの人間性を重視しないので,そのまま解釈することは難しいです.

本の中で紹介されてるグノーシス派の教義を読むだけでも
ややこしいので,せめでそれだけでも,教義をまとめた一覧表
でもあればよかったかも.

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://kerso.blog52.fc2.com/tb.php/90-14889151

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。