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イエスは笑っていた 

ユダの福音書を追え
ユダの福音書を追えハーバート・クロスニー

日経ナショナル ジオグラフィック社/日経BP出版センター 2006-04-29
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ユダという名は,ユダヤ地方出身だからみたいですね.当時のユダヤという意味は
ユダヤ地方出身ということを意味するようです.
そしてイスカリオテは,ケリヨト(Keriot)村の出身の人(ish)を意味していて,
"Ish-Keriot"を意味するという見解が主流らしい.

ギリシア語で書かれた新約聖書では,ユダの行為を「paradidomi」
つまり,「手渡す」「渡す」「引き渡す」という言葉で表現されていたらしい.
そういう意味で,裏切りのニュアンスは無かったとか.

『失われたキリスト教宗派』を書いたアーマンの言葉が面白い.
「もし,ユダはキリストを裏切ったのではなく,イエスに言われたことをしただけ
だと判明すれば,イエスはユダヤ教と決別したのではなく,ユダヤ教の継承者であった
ことになる.そして,歴史的にイエスがユダヤ教と決別したのではないのなら,
今日のユダヤ人とキリスト教徒の関係に大きな影響を与える.なぜなら,ユダヤ教徒と
キリスト教徒は,歴史的に異なる二つの宗教を信じていたのではなく,同じ宗教を
信じていたことになるからだ」

「ユダの福音書」からは,異なったユダ像が浮かび上がってきます.
イエスの弟子の中でも別格の存在で,裏切り者という印象はでてこない.
このことがどれだけの意味をもっているんだろうか?


アーマンは2003年の本で,
「イエスは自分がまもなく死ぬことを知って折,死ぬ理由も,死ぬほか
ないのだということも知っていた.彼の死は神の意志だったのだ.
それなのに,彼を死に至らしめた者を非難している.もちろん,
ユダはイエスを引き渡した者として非難されている.だが,ここで
疑問が湧いて来る.イエスがどのみち死ぬほかなかったなら,ユダは
当然彼を引き渡さねばならなかったはずだ.それは神の意志では
なかったのか,ユダはイエスの意を受けて行動したのではないのか?」
といっています.
この頃は写本の復元・翻訳プロジェクトにアーマンが加わっているとは
かかれていませんが,ユダの福音書がどこかで復元されているという噂は
知っていたかもしれません.

このグノーシス派の写本についてエイレナイオスは次のように行ったと
本に引用されています.
「異端者たちはユダを”真実の知識”を持つ唯一の使途とみなし,裏切り
という”神秘”によって,好ましい結果をもたらした,と言う.異端者
たちは尊大でだまされやすい.彼らは自分たちがでっちあげた文書を...
『ユダの福音書』と読んでいる.」

全体として,この本は,二つの意味を持っている感じです.
一つは,
「ユダの福音書」を含む写本が様々な海千山千の古美術商によって取引され,
風化をくりかえし,ついに学会の光に当たるところに出るまでの経緯.
もう一つは,
キリスト教における「ユダの福音書」の意味.

どちらかというと前者の方に重点が置かれた内容になっているのですが,
後者の点についても必要なことは延べられています.
ただ研究者ではなく,ジャーナリストによるものであるために,多少の
物足りなさを感じます.でもきっといずれもっと学術的な研究がなされ,
専門家による研究が発表されることでしょう.
とりあえず,この本自体は写本に関する古美術取引ドキュメンタリーという感じでした.

2世紀のエイレナイオスによる『異端反駁』に代表されるように,
当時存在した多くの宗派は正統でないもの,異端とみなされていき,
存続が困難になっていったんですね.
それこそ,もっと後のカタリ派・アルビジョア派にいたっては,
13世紀のアルビジョア十字軍によって殲滅という事態になっています.
新約聖書は,完成するまでに数世紀というかなりの年月をかけていて,
1544年のトレント公会議で完全に固定化されたものになったんですね.

聖書を文字通りの意味と捉えるのではなく,その背後に秘められた真意を
解くというグノーシス派.こうした知識によって,物質的な存在
から脱却できるという考え方.
異端かどうかはともかくとして,自由に解釈を許すならば,
宗教としての一貫性は破綻してしまったかもしれませんね.
許さなかったからこそ,キリスト教は世界宗教として残ってきたのかはわかりません.
どうせなら,「トマスの福音書」も読んでみようか.

二元論的なグノーシス派の考え方に,ゾロアスター教が影響したのは間違いないですね.
ゾロアスター,ツァラトゥストラ,ザラトゥストラ,いろんな呼び方がありますね.

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