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エコノミスト南の貧困と闘う 

エコノミスト 南の貧困と闘うエコノミスト 南の貧困と闘う
ウィリアム イースタリー William Easterly 小浜 裕久

東洋経済新報社 2003-07
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ずいぶん前から読み始めていたんですが,他のことに追われてつい
後回しになり,何度も中断していた本をようやく完読.

元世銀のエコノミストのイースタリーの書いた本です.
理論的な結果を踏まえて,多くの実証分析,ケース・スタディー,
経済学以外の本,そして実体験を踏まえて書かかれたもの.

1960年代以来,1兆ドルもの援助をしてきながら
「なぜ貧困は無くならないのか?」
を問うイースタリー.彼の解答は,
「人はインセンティヴに反応する」
というものでした.
つまり人々のインセンティヴを無視した政策は効果を持たない.
それどころか,悪用され,自体を悪くすることすらある.

かつては,資本そして資本蓄積こそが成長の源泉だと思われていました.
そのため,成長するには投資をするという考えにとらわれていた.
投資に対して援助もおこわなわれた.
しかし,まったく効果を持たない.

こうした中,
Robert Solowが整理した経済成長モデル,また成長会計の衝撃は
ショックでした.
モデルによれば,長期的な定常状態において,資本蓄積は成長要因とはならない.
また成長会計において,資本蓄積の貢献度は非常に低い.

イースタリーはいいます.
「成長へのインセンティヴが欠けているときには,
どんなに機械を増やしても無駄である」と.

経済成長の実証分析では,
人口成長率と一人当たりGDPとの負の相関が良く知られています.
とすれば,人口を抑制することが経済成長への解決になるのでしょうか?
コンドームを配るプロジェクトが行われたことがありました.
しかし人口抑制には,まったく効果がありませんでした.
イースタリーは,インセンティヴをまったく考えていないためとします.
子供を生むことのコストはコンドームを買うよりもよっぽど高い.
それでもなお子供を生むのは,コンドームが買えないからではなく,
子供が欲しいからだと.つまりインセンティヴが大事だと.


そして,政府は必ずしも,国民の為を思う聖人君主では無いという
当たり前のことをエコノミストは考えてこなかったことを指摘します.
直接的な,あるいは間接的な汚職.利益集団同士の消耗戦.
人種差別,民族対立などに基づく不平等.
こうした「人々の分断」が,誤ったインセンティヴをもたらしてしまうとします.
経済の成長ではなく,自らの利益のためだけに行動してしまう.
援助もこれを返って助長してしまうこともありえます.
特定の利益集団から形成される政府に援助をした場合,
それに対立する集団の勢力は弱まり,不平等を助長してしまう.
例として,スリランカのタミル人とシンハラ人との対立を示し,
マハウェリ・プロジェクトの失敗を示しています.

彼は言います.
人々の分断による消耗戦が起きにくい,つまりインセンティヴを
適正にするような制度を設計することが重要だと.


多くの国で,見られ統計に表れる結果は,背後にあるメカニズムの
誘導系しか示してくれません.
とすれば,統計分析による結果は,ほとんどが相関のみを示していて,
その背後のメカニズムを示してはいない.
大事なことは,背後のメカニズムを考察することなんだと実感しました.


「人はインセンティヴに反応する」
ということは,
「エコノミスト南の貧困と闘う」
の「闘う相手」はやはり「人間」でした.

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