スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

Excelで学ぶ金融市場予測の科学 ブラック-ショールズ理論完全制覇 

Excelで学ぶ金融市場予測の科学 ブラック-ショールズ理論完全制覇Excelで学ぶ金融市場予測の科学 ブラック-ショールズ理論完全制覇
(2003/10/20)
保江 邦夫

商品詳細を見る


2003年出版の本ですが,こんな本があることに4年以上も気が付かなかったなんで・・・.この本は,なかなか良い.金融工学といえばブラック・ショールズ式なのですが,この確率微分方程式をExcelでといてしまおうという試み.良く考えれば,表計算だってできるわけで,無理に難しいプログラム言語なんか覚える必要は無い.(もちろん実践するには必要.)
目次は次のような感じ.

1 おさらいと準備運動(架空デリバティブ取引
金融市場予測と確率微分方程式)
2 プロならせめて2変数関数(やり残したおさらい
1変数関数と平面グラフ
1変数関数の微分法 ほか)
3 ブラック‐ショールズ理論の解剖(線形確率過程というチョンボ
確率解析学と伊藤の補題
幾何線形確率過程 ほか)


第一章では,前作(この投稿の下のほうにある)の簡単な復習をしつつ,デリバティヴについて分かりやすく解説してくれる.これは分かりやすいのだけれども,関西弁が読みにくい.関西弁は文字にすると読みにくいと感じるのは僕だけか.

第二章は2変数関数と偏微分,そしてテイラー展開について解説してくれる.これは高校数学をわかっていれば十分にわかる内容.でもそれ以上にグラフも用いてその意味から丁寧に解説していくれているので,より分かりやすいかも.

第三章にいたって,ブラック・ショールズ式を解説してくれる.たいていの本と同様に,熱伝導方程式と同じであることも解説.このあたりは普通.あとはExcelを用いた数値計算法と,さらにモンテカルロ法まで紹介してくれる.


この本の何がすばらしいかといえば,Excelを用いて確率微分方程式・偏微分方程式を解くということに取り組んでいること.しかもマクロやVBAを使うわけでもなく,普通のExcelの関数と,セルの複写を多様するだけ.この点が,むしろダメという指摘も無いわけではないけれども,僕はむしろこうした簡単な手続きのみでブラック・ショールズ式を実際に操作する方法を提供してくれたことに意味があると思う.

どんなものでも,まず自分で操作する,経験することがスタートすることが一番理解が深まる.ただ数式で学んでも,それを操作できなければ面白さも何も分からないわけで.じゃあ,そのために面倒なプログラミングまで学ぶ必要があるのかと思うと,ハードルが増えてしまう.とすれば,むしろできるだけ多くの人に操作可能な形を提供してくれていることが,入り口としてすばらしいと思うのです.

著者紹介には「確率変分学の開拓者」とある.
変分という概念をきちんと理解している著者だからこそ,こうした連続の確率微分方程式をExcelという離散の表で十分に解けることを紹介できるんだと思いました.よくよく考えてみれば,数値計算は連続モデルを解く時にでも,微小とはいえ離散近似せざるを得ない.だったらExcelの表計算でできないことは無いわけだ.こんな発想は考えもしなかったが,言われてみれば当たり前なわけで・・・

数式を追うのはちょっと疲れるものの,丁寧にじっくり追えば理解できる書き方をしてくれている.たとえ細かい計算が追えなくたって,その数式の意味をきちんと追うことができていれば,問題ない.あとは自分でシミュレーションをしてみることで,数式のどの部分が,Dynamicsにどんな影響を与えいるかを確認することで十分だ.こうしたことを自分で操作してみることは,形だけの数式を意味もなくいじくることができるよりも,ずっと深い理解を得られるだろう.

この本では,Excelを使って解くことがメインになっていますが,この内容を読むだけで,基本的なアルゴリズムが理解できてしまう.一旦,アルゴリズムを理解していまえば,他のプログラミング言語に落とすことは極めて容易です.Excelを用いてイメージしやすいところでアルゴリズムを解説したほうが,むしろ理解しやすいわけだ.すばらしい.これは個人的に使える.


ダメな点.

1.前作に依存しすぎている.期待値や分散などの簡単なことぐらいは,はしょらずに解説しておきたい.また最後に書かれていたモンテカルロ法についても,前作に依存しており,まったく使えない.むしろ,前作と今回のとをあわせて一冊に書き下ろして欲しかった.ここが残念な点.というわけで,前作も購入しました.

2.野球に興味がない人は,野球をモチーフに例を挙げる著者の語り口はかえって分かりにくくなる.

3.そもそも著者の説明は,分かりにくい.本の目的はとても良いのだが,説明がもう少し丁寧であっても良い.もう少し推敲を重ねて欲しい.これは出版社が指摘すべきところ.

4.図表とそれを説明する本文とのページが離れすぎているところがある.これは不便で読みにくい.



これが前著
Excelで学ぶ金融市場予測の科学―市場を動かす中心金融定理とは何か (ブルーバックス)Excelで学ぶ金融市場予測の科学―市場を動かす中心金融定理とは何か (ブルーバックス)
(2000/04)
保江 邦夫

商品詳細を見る

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://kerso.blog52.fc2.com/tb.php/352-66e337a1

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。