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ロスマンの疫学 

ロスマンの疫学―科学的思考への誘いロスマンの疫学―科学的思考への誘い
(2004/08)
Kenneth J. Rothman

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先日読んだ「エピデミック」以来,疫学にはまってしまった.
数理モデルも面白いと思うけども,それよりも統計的手法を用いて因果関係を考察していく,まさに疫学探偵としての面白さがここにはあると思う.

この本は,今日購入したばかりなので,全体をパラパラめくっただけだけど,面白そうだ.

目次

第1章 疫学的思考の紹介
第2章 因果関係とは何か
第3章 疾病発生と因果的効果の測定
第4章 疫学研究の種類
第5章 研究デザインにおけるバイアス
第6章 偶然誤差と統計の役割
第7章 単純な疫学データの解析
第8章 層化データによる交絡の制御
第9章 交互作用の評価
第10章 疫学分析における回帰モデルの利用
第11章 臨床現場における疫学

目次を見てわかるとおり,基本的な思想は,統計学を用いた因果関係の考察にある.この疫学について考えるときに重要となるのは,統計データが実験から得られるようなものではないということ.この点,実験経済学を除いた経済学とよく似ている.ということは,得られるデータは確率変数ということになるわけで,非常に面倒になる.(本書にはそこまで書いてなさそう.)厄介なことは,例えばエピデミックを考えた場合,アウトブレイクする前の非常に希少なデータの段階では,そもそも統計的有意性など判断はできないだろいうこと.こんなところでどうやって因果関係を判断するんだろうか,ということが気になったところ.

なんて考えていたら,前書きで,

「世の中には,疫学というものを,ただ統計的手法を疾病発生や因果関係の問題に応用しただけと思っている人がいるようです.実のところ,疫学は見かけのいい統計分析をはるかに超えたものです.それは生物学,論理学,科学哲学に根ざした一分野なのです.」

といわれてしまうw.しかしこのあたりもまた経済学と共通するところは多いように感じる.この本の良いところは,第2章で,「因果関係とは何か」を儲け,因果関係についての科学哲学をしっかりと考察しているところにある.たいていの学問は(あるいは人間の思考は),なんらかの因果関係を見出そうと取り組んでいるわけですが,しかし因果関係についての科学哲学をきちんと考察しないままに,議論を進めていってしまっています.

この因果関係が意外に曲者なわけです.因果関係は相関関係ではない.間違えたので,修正.相関関係は必ずしも因果関係を意味しない.たとえある2変数に相関関係があるように見えても,別の変数が介在しているだけで,実はまったく関係が無いということもありうる.そして時間的な先行関係だけでも,かならずしも因果関係を捉えられるとは限らない.フィードバックがあったり,人間が予想に基づいて行動したりするとき,データで得られる時間的先行関係が,因果関係を表しているとは限らない.

因果関係というのは,実は科学を考える上でとても重要な視点になるわけ.もちろん微小な誤差を除いて,実験で変数がコントロールできるならば,因果関係を捉えることは可能とはいえる.しかしこの疫学のように実験が困難な分野(ここが経済学と共通してる)においては,因果関係について,きちんとした科学哲学を考察しておくことが重要になってくるわけだ.
これは個人的にきちんと読んでおきたい本だ.

そうはいっても,基本的にはそうした因果関係を推定するための統計的手法が解説されている.ぱらぱらとめくってみただけだけど,気になるところがひとつ.第10章に「疫学分析における回帰モデル」という章がある.統計分析をする上で,線形回帰はシンプルで強力なツールなわけだけど,ちょっと説明のしかたが分かりやすいような分かりにくいような・・・.きちんとロジットやプロビットで解説したほうがよほど分かりやすいのでは.まあ入門だからいいのかな.

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