スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ほら,こうやって,僕らは滅んでいく・・・ 

エピデミックエピデミック
(2007/12)
川端 裕人

商品詳細を見る


「エピデミック」を読む.

印象的なことばがいくつかあった.

「それは,神をのぞき最強のもの」

「確率密度の雲の中で持ちこたえること.」

そして,今回のタイトルの

「ほら,こうやって,僕らは滅んでいく・・・」

川端裕人による小説.絵が良いので,大きい写真にしてみました.
エピデミックとは疫学のことを言うらしい.
間違えましたw.お恥ずかしい.
epidemicとは,「異常発生」とか,「流行病、伝染病、疫病」のことらしい.
疫学は,英語で,epidemiologyでした.
疫学ってのは,厚生労働省のHPでみつけた定義では

「明確に規定された人間集団の中で出現する健康関連のいろいろな事象の頻度と分布およびそれらに影響を与える要因を明らかにして、健康関連の諸問題に対する有効な対策樹立に役立てるための科学」

というものだそうだ.この小説は,その中でも特に集団感染の原因を探り,その元栓を締めるということをテーマにしている.有名な小説アウト・ブレイクと同じテーマを選んでいるわけだ.ただし,小説の中の話の流れに沿って,もうちょっと疫学というものをきちんと説明してくれている.

インフルエンザの重症例だと思われた患者が,死亡していく.しかもまだ若いにも関わらず.そこに居合わせたエピの島袋カイトが問題を早期に察知し,その感染源を特定化するために疫学の知識を生かしていくという話.まさに疫学探偵ということになる.

しかし問題は簡単には解決しないのが,もどかしくすらあった.とんでもなく多くの感染源や感染経路が考えられる(ように描かれているw),読んでいると,あれも怪しい,これも怪しい.やっぱりこれが怪しい,いや違う.というように,あれこれ想像してしまう.それもエピ達と同じような経路をたどって.著者にうまいように操られてしまうのだ.それがもどかしくもあり,楽しくもある.限られた情報から,どいう推定ができるか? もちろん読み手の僕は,エピ達よりも多くの情報を得ている.読んでいると「きっとこれが感染源だ」なんて思うも,じゃあ「証拠(エビデンス)は?」と聞かれれば,答えに困ってしまう.そこにはやっぱり疫学が必要となる.

疫学って,基本的には統計学の応用ということになるんだろうか.この疫学のテーマ,これって実験ができないのが大きく他の自然科学の学問と違うところみたいだ.確かに集団感染などを再現するわけにはいかない.また刻々と自体の変わる現在進行中の問題にモデルを当てはめ,その分布を特定化していく.その中で,もっとも頻度の高いものをターゲットとして行動していくというわけだ.本文中には,オッズ比以外にはそれほど詳しいことは解説されないので,内容は難しいことは無い.

以下少しネタバレです.












最終的な感染源を知ると,なんだそんなことか?と思ってしまう.しかしそれは単に結果を知っているからいえることでしかない.実際に著者はそれを意図して書いている.そしてそんな簡単なことに至らなかった複雑に絡み合った要因を解きほぐしてくれる.それこそが感染源特定の難しさであり,疫学が意味を持つことなのだと.

読み応えあり.一気に読んでしまった.1900円+税

コメント

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://kerso.blog52.fc2.com/tb.php/341-76b96e8b

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。