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「系統樹思考の世界」を読む 

系統樹思考の世界 (講談社現代新書) 系統樹思考の世界 (講談社現代新書)
三中 信宏 (2006/07/19)
講談社

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「系統樹思考の世界」を読む

詳しい目次は,三中氏のHPにある.

タイトルにかなり引かれるものがあって買ってしまった一冊.
イメージとしては,きっとミトコンドリアDNAを使って,ミトコンドリア・イブを探すようなトピックなどで,きっと分かりやすく伝えてくれるんだろうなぁ~.と思って買った一冊.

が,第一の感想は,あれもこれも詰め込んでいて,分かりにくいの一言につきる.著者は,人々の「本質を求める」という思考に系統樹思考が内在するということを言ってる.でもまずは,系統樹とは何か,系統樹思考を用いることで,どういうメリットがあるのか,ということをもっと明確にしてほしい.

第二の感想は,第一の感想と同じようなものだけど,全体にまとまりが無い.著者いわく意図的に行ったようだけれども,おかげでわけがわかりませんでしたw.

第三に,後半部分を前に持ってきて欲しかった.系統樹を具体的にどのように利用できるのかといったところのほうがむしろ興味のあるところ.系統樹思考の科学哲学なんて難しいことは後半で十分.いつまでたっても,どういう思考が著者のいうところの系統樹思考なのかということがわからずイライラしてしまった.

第四に,一番知りたいことが書いていない.たとえばP230に,

「進化過程の確率モデルを踏まえた最尤法やベイズ法など,最先端の系統推定法が用いられるようになり,従来は解明できなかった生物の系統関係についての新たな考察ができるようになりました.」

ってある.これ面白いトピックじゃないですか~.でもこの一言で終わり.なんにも紹介されない.こんなのはほかにも沢山ある.こんな抽象的な表現で終わってしまうところはほかにも沢山ある.必要なのは,たくさんのトピックを並べることではなくって,いくつかの面白いトピックを分かりやすく掘り下げて欲しいってこと.

全体として,本の構成が,系統樹でいうところの端っこばっかり紹介されている感じです.つまりこの本の全体像を理解するためには,「系統樹思考」による推論が必要になっているんです.系統樹思考の世界を閲覧するために,系統樹思考が必要だなんて,おしゃれにも程がある.しかし,それでは,端から読み手を拒否しているような感じもする.僕はあまりにイライラして,一度読むのを止めてしまいました.一月ほどしてから,ようやくまた読み直したわけなんです.


それでも良くわからないなりに,面白かった.
特に系統樹思考は,因果関係との関わりを考えると面白いかもと思う.ともかく,どんな分野でも因果関係を見つけるというのはとても難しい.なんらかの強い仮定のもとで,因果関係と定義する必要があるんだと思う.経済学で因果関係を統計的に考えるときには,時系列分析のグランジャーの因果性分析を良く使う.基本的なアイディアは予測に関する貢献度を測るというもの.

この系統樹推定も,ある種の時間的な先行関係を推計するような手法になっているんだと思う.ただ本書にもあるように,系統樹はネットワークにはなっていない.その意味で,とても強い仮定の下で,因果関係を考察するということに変わりは無いわけだ.

ほかに面白かったトピックは「言語の経済学」というものがあるということを知ったこと.うーん,これは良く考えれば「最適通貨圏」の議論ととてもマッチするのかも.というか,すでにそうした側面での研究がなされているのかもしれないなぁ.

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