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「1997」を読む 

1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)
1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74)竹森 俊平

朝日新聞社 2007-10-12
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おすすめ平均 star
star頭の整理になるが学者の限界も見える
star今年度下半期最高の経済書の一つになるのでは
star読みやすくてわかり易い作品です。金融関係者の必読

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少し前にでた本.
竹森俊平といえば,

「経済論戦は蘇る」

がとてもよくかけた秀作でしたが,今回もその論調は変わらず,各分野の最前線に立っていた人々のインタビューや回想録を引用しながら,1997年の通貨危機,日本の金融危機を振り返っていきます.

ポイントとなる論点は,「ナイトの不確実性」.
一時期(いまでも?),東大でも流行ったこの不確実性.定式化は,エルスバーグによるものを使っています.あー,ショケ積分ってなんだろ~って思ってましたw

この本で,「リスク」と「不確実性」の違い.エルスバーグのパラドックスなどがきちんと分かった気がします.
リスクとは,過去のデータの蓄積があったりして確率分布が分かっているもとで生じるもの.
一方,不確実性とは,確率分布すらわからない,まさに不確実な状態をいいます.このとき,エルスバーグの定式化によれば,マキシミン(max min)の原理が行動様式となるということでした.最悪のケースのベネフィットを最大にするような行動ということになるわけです.数学の記述の順序なので,minを適用してから,maxにするわけですね.

そして1997年の金融危機は,こうしたマキシミン原理による行動によって,「質への逃避」が起こり,流動性(特に現金)が選考されたという説明がなされるわけです.

何人もの証言と,理論・実証を紹介しながら,自らの議論を展開していきますが,第一線で活躍していた人の生き生きとした証言を用いるあたりが,竹森氏の真骨頂というところでしょうか.こういう語り口で,経済を語ってくれると,現実の経済と政策とが結びつき,いかに政策決定が重要であるかが伝わってきます.

彼の主張は,まとめるとこんな感じです.

=============
金融危機の真の原因はナイトの言うところの「不確実性」にある.
そのため人々はマキシミン原理によって,質への逃避を起こす.
こうした問題への対処には,積極的な政策が望ましい.
積極的な金融政策はもちろん,積極的な構造改革も不確実性に一定の効果を持つ.
=============

と僕は解釈しました.
p228で,

=============
日本の「不確実性」は常に「組織」
=============

というんです.だとすると,こうした不確実性を取り除くことができるのは,やはり「構造改革」ということになってしまうのでしょうか?このあたりは,ちょっと竹森氏の本来の意図とは違うことを言ってるような気もしないではないのですが・・・

取り除くことはできないにしろ,不確実性を緩和できるものはしていく必要はあるでしょうね.特に組織の問題であれば,それなりに対処のしようがあるようにも思うのですが・・・

最後に,エルスバーグの逸話は有名ですがとても面白かった.
ペンタゴン・ペーパーズ

ウォータゲート事件

あたりを調べると面白いです.

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