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日本人のための憲法原論を読む 

日本人のための憲法原論
日本人のための憲法原論小室 直樹

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議論のスタートは,「憲法とは誰のために書かれた法律か?」というところから恥じまる.良く考えたことは無いことをきかれてしまい,実際答えに窮してしまう.

この話を進めるまえに,刑法と刑事訴訟法について面白い議論をしだす.
刑法は,裁判官を縛る法律であること.
刑事訴訟法は,検察も含めた行政権力全体を縛る法律であること.
すなわち国家の持つ強大な権力の横暴から被告を守る必要性を確認する.
ここに近代法の思想がある.
一つは,「罪刑法定主義」.
日本国憲法第31条「何人も,法律の定める手続きによらなければ,その生命若しくは自由を奪われ,又はその他の刑罰を科せられない」
もう一つは,「デュー・プロセス(適法手続き)」
これは行政権力は徹底的に法律を守らなければならない,それができなければ裁判で被告は無罪放免であること.
ここに
「1000人の罪人を逃すとも,一人の無辜(むこ)を刑するなかれ」
という冤罪を作り出すような国家の犯罪こそがもっとも避けられるべきものであるという根底に流れる思想がある.

なぜこうした思想が作られるにいたったのか.このことを各章で歴史を踏まえて確認しつつ,憲法の概念について学んでいくのが本書の特徴であり,名著たる所以.こうした考えが日本に定着していないことが,現代日本の問題点であると著者は言う.この始めの章で,著者の述べたいことはすべて述べられた感はあるが,後の章を読み出すともう止まらない.

そして憲法は,
「国家権力(司法・行政・立法)全てを縛るための命令」
であることを理解していく.なぜなら憲法に違反することができるのは国家だけであるからだ.トマス・ホッブス(1588-1679)は『リヴァイアサン』において,旧約聖書ヨブ記を引用して,国家をリヴァイアサンにたとえている.憲法とは,「国家権力の暴走をくいとめる最後の鎖」として誕生したものだという.

中世ヨーロッパの歴史を振り返りつつ,憲法,議会の成立を確認する.
またマックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムと資本主義の精神』を振り返りつつ,カルヴァン派の予定説から民主主義,資本主義が生じる様を見せてくれる.
この本を読んで,ロックの社会契約説がいかなる意味を持つのかが,恥ずかしながら始めてわかった気がする.そして歴史を学ぶ意味,古典を学ぶ意味,社会科学を学ぶ意味を,読み終わって初めてわかった.高校時代,あるいは大学に入ったときにこの本に出会っていたならば,そのときに学んでいたことの理解がより深まったに違いない.全てを語ってしまうのは,もったいなく,是非本を読んでほしい.何度も脱線しながらも,実は基礎知識を補ってくれている.これがないと,むしろわからないままになってしまう.社会科学を学ぶ人だけでなく,すべての日本国民が必ず読むべき一冊だと思った.憲法,民主主義,平等,資本主義,自由といったなんとなく使っている言葉の歴史と意味をきちんと理解することができる.そして同時に何故僕がいま何となく使っているのかの理由もわかってくる.
是非絶版になる前に入手しておこう.

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