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間宮陽介訳 「雇用,利子および貨幣の一般理論」が出る 

雇用、利子および貨幣の一般理論 上 (1) (岩波文庫 白 145-1)雇用、利子および貨幣の一般理論 上 (1) (岩波文庫 白 145-1)
(2008/01/16)
ケインズ

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僕としたことが,これが発売されいたのを逃していました.
今日,本屋に立ち寄って,思わず購入した待望の一冊.
アマゾンではまだ画像も間に合ってないですね.

とりあえずいまいえることは,

文庫になったことで,「一般理論」の敷居が低くなった.

文庫になったことで,読もうと思う気になった.


ともかくも文庫で出したということが,今回の訳の最も意義があることだったと思う.
まあ昨今は,古典の新訳ブームではあるのですが,こういう学術的なところは,ちょっとブームは遠いところにあるのかもしれないですね.特にケインズは分かりにくいといわれますし.一般に大学のマクロ経済学で学ぶIS-LMモデルが,ケインズ理論の代表的解釈といわれています.が,当然ながら,「一般理論」のあの大著が,財市場と貨幣市場のたった2本の式に収まるはずはないわけです.その意味で,IS-LMモデルはケインジアンの理解を普及させたものの,ケインズの考えていた経済学とは違うところを見ていたということなのでしょう.

さて,序文を読むと,アメリカのニクソン大統領の有名な言葉,

「われわれはいまやすべてケインジアンである」

が紹介されています.当時の経済学者に強く影響を与えた一冊であったわけです.サミュエルソンいわく,「南海の小島を疫病が襲うように」であったのですねぇ.逆に,その後の新自由主義をまた疫病と言い放ってしまうあたりは,間宮氏らしいというところか.

間宮氏といえば,「ケインズとハイエク」,そして,「市場社会の思想史―「自由」をどう解釈するか」を読んだことがありますが,両方とももう一度読みたい本です.日本のアカデミズムが好みそうなバイアスがあるとはいえ,これだけの短い本に経済思想史がきちんと整理されているのは貴重です.経済理論だけでなく,それが形成された時代のファッションを知る,そして背景にある経済思想を知ることが如何に重要かを再確認させてくれました.

さて,その間宮氏の訳.以前から話題になっており,いつでるのか期待していたところですが,ついにでてくれました.といっても,僕が今日気が付いただけで,とっくに出ていたのかもしれないのですがw.

当然ながら,まだほんの少ししか読んでいませんw.ですから書評ですらない...
そもそも,こういう本はさっと読んで理解できるような本では無いわけで,ただでさえ読むのが遅い僕には,一生かかってしまうのかもなぁとも思ったりしました.

僕がケインズの言葉で一番好きなのは,吉川洋氏の「ケインズ―時代と経済学」で引用されていた次の言葉,

「経済学の研究のためには、非常に高度な天賦の才といったものは必要ない。経済学は哲学や自然科学に比べればはるかに易しい学問といえるだろう。にもかかわらず優れた経済学者は非常に稀にしか生まれない。このパラドックスを解く鍵は、経済学者がいくつかの全く異なる才能を合わせ持たなければならない、という所にある。彼は一人にして数学者であり、歴史家であり、政治家であり、哲学者でもなければならない。個々の問題を一般的な観点から考えなければならないし、また抽象と具体を同時に兼ね備えた考察を行わなければならない。未来のために、過去に照らし、現在を研究しなければならない。」


ちなみに以前の本は,塩野谷氏のこちら.普及版とはいっても,その分厚さに読み始めることすらままならないというw

雇用・利子および貨幣の一般理論雇用・利子および貨幣の一般理論
(1995/03)
J.M. ケインズ

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最小のコスト(費用)で,最大のベネフィット(便益・利益)をあげる 

このネタはついこの前も書いたのですが,誰とはいいませんが勘違いされていることが多いので,もう一度書きます.

「最小のコスト(費用)で,最大のベネフィット(便益・利益)をあげる」

というのは,経済学的に正しくありません.いやそれどころか数学的にも正しくない.
経済学的にも,数学的にも正しいのは,

「一定のコスト(費用)で,最大のベネフィット(便益・利益)をあげる」

か,または,

「一定のベネフィット(便益・利益)を,最小のコスト(費用)で達成する」

のどちらかです.
これは数学的には,
前者が「制約条件付きの最大化問題」,
後者が「制約条件付きの最小化問題」,
を解いていることになります.


「最小のコスト(費用)で,最大のベネフィット(便益・利益)をあげる」

に似たような言葉は,あちこちで耳にしたり,目にしたりすることがありますが,
是非気をつけてみてください.


ただし,もしも達成すべき目的関数が,コストとベネフィットの2変数関数であったときには,ちょっと違います.この場合は,目的関数が最適になるようなコストとベネフィットを見つけることが問題になります.このような問題に変えてると,
「最小のコスト(費用)で,最大のベネフィット(便益・利益)をあげる」
とはまったく意味が違います.このケースでは,
「ある目的関数を最大化(または最小化)するような,コストとベネフィットの水準を選ぶ」
という問題になるわけです.目的関数を最大化(あるいは最小化)するようなコストとベネフィットは,最小のコストではありませんし,最大のベネフィットを達成しているわけでもない.というか,こういう定式化そのものをしないんじゃないかなぁ.

やっぱり,

「ある一定のコスト(費用)で,最大のベネフィット(便益・利益)をあげる」

か,または,

「ある一定のベネフィット(便益・利益)を,最小のコスト(費用)で達成する」

が妥当ですね.

嫌いな言葉 

嫌いな言葉

・ウィン・ウィン

・ビジネス・パーソン

・コンサル

・ライフ・ハック

・~になる10の方法

・仕事術

・マインドマップ

・ブレスト

・プレゼン

・ユーザビリティ

・ヴァリュー

・ブラッシュアップ

・レバレッジ

などなど.

何故嫌いかの理由は特にないんだけど,

あえて言えば,これらの用語が入っていると,なんとなくそれっぽく聞こえるけど,たいていの場合は,ほとんど意味がないようなことが多いということが理由.表面的な字面だけで,薄い内容の議論がごまかされてしまうからかな.

難しい用語や表現,そしてカタカナ語を使う人の話ってのは,これらの用語がそもそも持っている重要な意味を利用して,たいていの場合たいしたこと無い(僕も含めてw).むしろ,やさしい言葉で平易に語る人の話ほど,内容が深いことが多い.

「最小のリスクで,最大のリターンを」は,数学的にありえない 

先の投稿の,勝間氏の本に,

「最初の分散投資は,・・・(略)・・・,なるべくたくさんの資産に分散をして投資をすることで,リスクを最小化しつつ,リターンをあげる方法です.」

とありますが,この文章には間違いがありますといいました.

その理由は,次のようになります.ちょっと違いますが,上の文章を

「最小のリスクで,最大のリターンを」

と書き換えてみます.これって,よく聞きますが,数学的に無理があります.



数学的に可能なのは,次の二つ.

1.ある一定のリスクの下で,最大のリターンを.

2.ある一定のリターンの下で,最小の利益を.

です.1は制約条件つきの最大化問題,2は制約条件つきの最小化問題を解いているわけですね.

たいていの場合は,「最小のリスクで,最大のリターンを」といっても,暗黙のうちにどちらかを固定しています.そこに気が付かずに「最小のリスクで,最大のリターンを」といっていると,実は正確に物事を考えていることにはならないんですね.


もちろん,場合によっては,制約条件の内部に最適解が存在することがあります.つまり制約条件を考えなくて良い.この場合には,上の問題でいえば,最大のリターンを達成するところを選べば,制約と想定していたリスクよりも小さいリスクになっているというわけ.

CSIとアメリカの牛肉の現実 

昨日,お昼にやっているCSIマイアミをみていました.
そのとき犯人の一人がつかっていたナプキンに,肉の断片がついていたのをCSIの職員が発見し,その成分分析をしていたんです.それを聞いて,アメリカ牛肉の現実に驚きました.
そのときを会話はこんな感じでした.

「なにかの肉ね.スペクトルには何もでてない」

「その通り.プロゲステロンも,エストラジオールも,混合ホルモン剤はゼロ.ということは・・・」

「輸入肉!」

「神戸牛だっ.日本の高級食材」

というやりとり.これらの物質が含まれていないことが,アメリカでは輸入肉であることの判断になります.つまり,アメリカの牛肉には,これらの物質が当然のように使われているという事実があるわけです.

そもそもプロゲステロン,エストラジオール,混合ホルモンとは何なのでしょうか?
Wikipediaで調べてみました.

===============
・プロゲステロン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B2%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AD%E3%83%B3
プロゲステロン(progesterone)とは、ステロイドホルモンの一種。一般に黄体ホルモン、プロゲストーゲン(progestogen)の働きをもっている物質として代表的である。

・エストラジオール
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9%E3%82%B8%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%AB
エストラジオール(英Estradiol:E2)とはエストロゲンの一種。性質等は、エストロゲンに詳しい。
===============

ということで,牛に投与するホルモン剤なのですね.これらが無いことが輸入肉の判定になるとすれば,アメリカ産牛肉には,これらが当然のように使われていることになります.この問題,何年も前から問題になっているようです.少し調べてみると,こんな記事がありました.

「日本の消費者のアメリカ牛肉ボイコット運動は、ホルモン入り牛肉のボイコットにまで拡大するであろう。」との論評
http://www.sasayama.or.jp/wordpress/?p=495

とか,

「話題にならないがアメリカ産牛肉の危険度を再考」
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070410/6375

など,調べるとたくさんでてきます.詳しくは僕が書くまでもなく,上の二つの記事に纏められています.こうした問題に過剰になることは避けたいが,ホルモン剤などは分量が問題になる.この前に紹介した環境問題への疑問の本ではダイオキシン問題について疑問を提示する興味深いものでした.基本的にどんな物質でも,少なければ問題が無い,あるいは薬になり,多すぎれば毒になる.たいていのダイオキシンなどは自然界に普通に存在しているわけで,そう考えると物質そのものが問題ではなく,量が問題であることは結構ある.タバコだって,6本すえば基準値を超えたダイオキシンを摂取することになるのだそうだ.

しかし僕が問題だと思うのは,こういったホルモン剤などは,人為的に作成し,精製して与えるていること.こうした一つの物質の純度を高めたものを利用することは,自然に存在するものとはまったく意味の違う形で体内に取り込まれることになる.その意味で,かなりの残留が残っている可能性が高く,また人が食べる段階で残留が高ければそれだけ影響を持ちうる.

こうしたちょっと曖昧な物質の毒性を判定するのは統計的に難しいような気もする.実験のための条件が正確にコントロールされないと,統計学的に有意な結果など,どちらにも動きうるでしょう.うまく実験をコントロールして,適当な帰無仮説を置けば,無害であるという結果が出やすいのではないでしょうか.特に量の問題で,毒性が決まるときには,この分量以下ならOK,この分量以上はダメなどのようなきちんとした分量が決まっているわけでない.コントロールすべき変数が多すぎるので,とてもばらつきをもってでてしまうんでしょうね.

その意味で,できればあまり人為的に精製した物質を大量に使うことは避けて欲しいと個人的には思うわけです.アメリカ産牛肉.これから自分が買うようになるとき,どう判断するかきめなくては.

「花見酒の経済」の勘違い 

最近になって,また新聞で「花見酒の経済」という文字を良く見るようになりました.この言葉は,朝日新聞の論説主幹だった笠 信太郎の『花見酒の経済』から使われるようになりました.当時の高度経済成長に疑問を投げかけるものとして用いられたのです.近年は,『バブル』に対する批判,つまり実態のない経済に浮かれる状況を批判するのに用いられているようです.

しかしこの『バブル』に対しての用い方は,間違い.経済学を学ぶまでもなく間違いです.まずは落語の「花見酒」をみてみましょう.

===============
■落語 花見酒
  ”酒が無くてなんの桜かな”と言われるように、花見には酒が付き物です。
 「向島に花を見に行ったら酒屋がない、だから我々二人が金を出し合って酒を売らないか」と言う事で酒を仕入れて売る事になった。倍儲かるから2両が4両、4両が8両になって、8両が ・・・・、両手でも数えられないほど儲かるという。

 借りのある酒屋だがそこで2両の酒を買った。一斗樽に仕込んだが底の方にわずか入った程度で、担いで出掛けた。腹が空きすぎて力が出ないと言って1貫だけ残して置いた。この1貫で芋でも買って力を付けて働く事にしたが、芋を買えば芋屋に儲けさせてしまう。だったら、無駄がないように我々の酒を買えば損が無く、倍儲かるよ。樽をそこに置いて、まず相手に1貫の金を払って一杯の酒を買って飲み出した。金を受け取った相棒も待ちきれずに、その一貫を相手に渡して一杯やった。イイ酒だと感心しながらやった。相手が美味そうに飲むので 、その1貫で交互にまた飲んだ。

 向島に着いて、酔った勢いで店開きをした。最初の客が付いたが、酒が無く売り切れていて断った。2両の金で仕入れているので、4両にはなっているはずで、そのお金で再び酒を仕入れて来る事にした。相棒に売上金を出さすと1貫しか無い。「2両で仕入れたのに1貫しか無いとはおかしいじゃないか」、「1貫出してお前が飲んで、俺が飲んで、またお前が飲んで、俺が飲んで・・・、で売り切れた」、「それなら、無駄が無くって良かったな」。

==============

というもの.
一見奇妙な取引に見えます.
しかし,これはバブルではありません.花見酒の経済では,実態がそこにあるからです.(バブル経済というのを「実態の無い経済」としておきます.)花見酒の二人は,自分達が持っている酒をある種の『自家消費』しているんです.つまり自分達がお互いに取引しているだけのことで,そこにはきちんと実態的な財と取引が存在しているんですね.

『自家消費』というのはGDPを測るときに,農家が自家消費する農産物について帰属計算をする際に使われます.農家は,自分達が食べる分をとっておいて,残りを市場に売ります.自分達が食べる分は,市場には出回らないものの,価値を持った財として存在はしているわけです.GDPでは,この自家消費の分を,市場価格を元に計算して計上します(これを帰属計算といいます).つまり,そこに実態的な財は存在するものの,自家消費などで市場を経由せずに消費されてしまう財について,きちんとその財の価値を計上することを帰属計算というわけです.

この「花見酒の経済」は,酒という実態がきちんとあり,バブルではない.そのため,バブルに対して「花見酒の経済」を持ち出しているのは,間違いだっていうことになるわけです.落語を見ていると,自分達の売り上げはまったく無いように見えますが,これは飽くまで金銭的に計算した場合の話.いわゆる満足度(経済学でいうところの効用)で測るならば,きちんと酒を飲んで消費しているわけですから,実態として効用があるんですね.



・ちなみにSNAの考え方を適用するとすれば,自家消費などと持ち出すまでも無いです.次のように考えることになるでしょう.

①もし酒を仕入れて,きちんと売っていたら,
『酒』は別の人の最終消費としてGDPに計上されます.

②落語のように,酒を自分達で飲んでしまっていたら,
『酒』がそのまま2人の最終消費としてGDPに計上される.

というだけのことですね.中間マージンをゼロとしておけば,どちらの取引もまったく同じ価値をもっているわけです.




・さらに,落語自体の問題としては,

二両で仕入れて(一貫だけ残してある),一貫で売ると倍の四両になり,儲けは二両.


です.落語の取引は,残してある一貫を使って,はじめに一杯のむ.売り上げは一貫.しかし次の人は,その売り上げを使って酒を買ってしまう.そして次もまた繰り返す.
そうすると,四両分の酒を飲めたことになる.
二両で仕入れて,四両の酒を飲んだのだから,儲けは二両でしょ.ただし売り上げ二両を使って,飲んでしまったので,一貫が残るのみということになります.

なんの問題もない.

一見面白い話も,よく考えれば,不思議でもなんでもない話です.新聞で論を述べるなら,もうすこしよく考えてから書いて欲しいものです.二重に勘違いしてしまうなんて,落語のオチにもなりませんよ.

さらに面倒くさい人になる 

「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ
「社会調査」のウソ―リサーチ・リテラシーのすすめ谷岡 一郎

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昨日,今日と,ずーっと座りどおしで,首も肩も腰も痛くなってしまいました.
それでもなんとか,一銭にもならない無給の仕事をこなして,夕方からはジムにも行かず,じっくり休養.

で,本を読んでいたのですが,先日読んだ谷岡一郎氏の本が面白かったので,第一弾の方を読んでみた.

「社会調査のウソ」 谷岡一郎

どうも僕は情報に疎くて,第二弾を読んでから,第一弾を読むことが多い.これもまたその一つw.

基本的には,新聞・テレビなどのメディア情報を鵜呑みにせず,多くの社会調査がゴミであるという内容.そしてゴミの中から本当に重要な情報をみつけるための,リサーチ・リテラシーをつけていきましょうっていう本.

とても多くの事例が載せられていて,実名を挙げて批判していく姿は気持ちよくすらある.きっといろいろと反論をいただけたことで,大変だったことでしょう.

情報を鵜呑みにしないってのは,とても大事なことなんですが,正直「面倒くさい人」なんですね.僕もその一人なんですが,谷岡氏は専門分野だけあって,さらに面倒くさい人でした.そんな面倒くさいことを,ちゃんとやってくれるというのは,とても大事な仕事なんだと思いました.

で,これを読んで,僕はよりいっそう面倒くさい人としてレベルアップしたのでしたw
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